産業医や産業カウンセラーを配置しているのに、従業員の健康問題やメンタル不調、ハラスメントが減らないと感じていませんか?
例えば、以下のような問題があるかもしれません。
- 健康経営を導入しても効果が感じられない
- 休職者や離職者が減らない
- うつ病などで休職した社員の復帰が遅れる
多くの企業が、このような課題に直面しています。健康経営が普及する一方、期待通りの費用対効果が得られず、継続が難しいと感じる場合もあるでしょう。この記事ではなぜ根本的な解決が出来ていないのか、解説していきます。
メンタル不調での休職がダントツで多い
日本全体で見た時のR3年度精神疾患の患者数は3年で200万人も増えました。
健康保険の傷病手当金受給状況から見ても、メンタル不調での需給はダントツに多いです。グラフには入れていませんが、25-29歳、30-34歳、35-39歳の年齢層が多く、中堅層ならではの悩みや、家庭との両立においての悩みも相まっているのかもしれません。
また、メンタル不調になると、長期化しやすく平均で7.3か月の受給期間となっている点も見逃せません。約半年現場に人材不足が生じてしまうため、残された社員の負担増加や、人材補填や教育のためのコストなども増えてしまいます。
健康経営が期待通りに機能しない理由とは?
一人一人が持つ本質課題をクリアできていない
健康経営の導入により、従業員一人ひとりの健康管理が重視されていますが、その実施方法が効果を生むかは別問題です。健康診断やストレスチェックの導入、生活習慣病などの研修を実施、残業時間を減らすなど、形式的な運用だけでは結果につながりにくいでしょう。
効果を得るためには、従業員が実際に利用しやすい仕組みづくり、セルフケアが長期的に働きやすい環境や、一人一人が抱えている問題の対応など、表面的ではなく本質的な部分での整備が重要です。
休職期間中のフォロー体制が弱い
メンタル不調者への対応は難しいために、休職期間中に連絡を取らない、主治医に任せるといった状況になっていませんか?
メンタル不調からの復帰は、適切な支援と職場復帰へのフォローが求められます。休職期間中こそ、どのような状況なのか、なぜメンタル不調になったのか、職場にどのような課題があるのか、など聞く事ができると、スムーズな復帰や復帰後の精神状態も安定しやすいです。
個別の状況に合わせた段階的な復職プランや同僚からの支援体制を整えることで、復帰のスムーズな実現が可能になります。
効果的な健康経営とは?
従業員の健康管理は法的に義務付けられていますが、形式的に体裁を整えるだけでは十分な効果を得られません。健康経営導入にあたって中途半端にコストがかかるうえに、損失にもつながってしまいます。
実際に、定期的な健康診断や産業医の設置といった形式的な管理は一歩目にすぎません。一人一人が抱えている問題と向き合う時間を作れるかどうかがカギとなってきます。健康診断後に個別面談を実施、適切なアプローチと実行計画を行うことで、企業の売上や利益率向上、離職率の低下につなげることができます。
なぜ産業カウンセラーがいてもメンタル不調が改善しないのか?
企業のメンタルヘルス対策の一環として産業カウンセラーを導入している場合でも、実際には一時的な効果にすぎず、問題を繰り返してしまうケースが多々あります。
理由1)対症療法と根本解決の違い
多くのカウンセラーが、「傾聴と共感」に重点を置いていますが、このアプローチでは苦痛が一時的に和らぐものの、根本的な問題を解決することは難しいです。
たとえば、上司への恐怖心や仕事に対する過度な不安感が原因となっている場合、表面的な聞き手役だけでは根本の不安感は解消されません。なぜ恐怖心を感じているのか、なぜ不安を感じているのか、どんな価値観や信念、正義感をもっているのかなど、一つ一つ当たり前と思われることにも理由をしっかりと確認していきます。この深堀は認知行動療法(CBT)で実施できます。
また、一人一人が持っている価値観や信念は自分を守るためでもありますが、社会ではマイナスに作用することもあり、不合理な選択なってしまいます。その価値観も両親や幼少期のトラウマ、社会の常識などあらゆる影響があるため、一つ一つ丁寧に紐解いていくことで、同じ状況下に置かれても恐怖心や不安感などが出なくなります。
このように認知行動療法をしっかり活用することで短時間で根本的な問題を取り除くことが可能です。
理由2)不調者中心のアプローチから予防的対策へ
不調が顕著になってから対策を取る「対症療法」的なアプローチではなく、日常的なケアが重要です。仕事をしていくうえで人との関わりは必須です。一人一人の価値観が違うからこそ、ちょっとしたズレが対人トラブルや、メンタル不調の原因となります。
認知行動療法は、メンタル不調者が受けるものではなく、実はどんな人も受けたほうがいいアプローチでもあります。
全社員が専門家と定期的に面談やカウンセリングを受ける機会を作り、対人トラブルや健康問題が顕在化する前に問題を発見することで、心身の安定を図ることが可能です。
理由3)医学知識の不足
メンタル不調と身体的な不調は一緒に出てきます。メンタル面にわかりやすい不調が出ていない場合でも、身体的な面で症状が出ていることが多々あります。産業カウンセラーは医学的な知識や経験が不足しているために、対象者の状況を統合的にアセスメントができません。治療方法がどうなのか、今どのような状況にあるのかなど、理解できることで踏み込んだ関わり方もできるので、産業保健師・看護師との連携も必要となってきます。
当協会が提供する従業員向けメンタルケアサービス
当協会のカウンセリングサービスでは、メンタル不調者だけでなく、人間関係の改善や自己成長を望む方にも対応しています。具体的な成果として、うつ状態はパニックが治まった、対人恐怖症がなくなり、職場に行けるようになったなどの事例もあります。メンタル不調を抱えていない方では、コミュニケーションが改善された、イライラしにくくなった、職場の雰囲気が良くなった、積極的に仕事が出来るようになったなどの変化も聞かれています。
従業員の心に寄り添うケアが、企業全体のパフォーマンス向上に繋がります。必要な方はお問い合わせください。