自分のメンタル不調と向き合う方法:対症療法、根本療法の違いとは?

忙しい現代社会で、「なんだか調子が悪い」「気分が上がらない」と感じることは多くの人に共通する悩みです。メンタル不調は誰にでも起こりうるものですが、問題に気づいた際にどのように対処するかが、あなたの心の健康を左右します。ここでは、対症療法、根本療法の違いを解説し、長期的に効果のある方法を一緒に考えていきたいと思います。

メンタル不調のサインに気づく

まず、自分の心身が発するサインに早く気づくことが大切です。以下のような状態が続いている場合、メンタル不調が原因かもしれません。

  • 集中力ややる気が低下している
  • 不安やイライラが続く
  • 睡眠の質が悪く、疲れが取れない
  • 食欲が不安定になっている、体調が優れない

これらの兆候に気づいたら、早めに対処することで大きな問題になる前に解決できるかもしれません。

セルフケア:日常の小さなケア

セルフケアとは、心身のバランスを整えるために自分でできる習慣的なケアを指します。例えば、リラックスする時間を持つ、バランスの良い食事をとる、軽い運動をすることが含まれます。

セルフケアの具体例:

  • 深呼吸や瞑想:心を落ち着かせ、ストレスを軽減します。
  • 軽い運動やストレッチ:体を動かすことで気分がリフレッシュし、心の健康にも良い影響があります。
  • 趣味や好きなことに時間を使う:音楽、読書、散歩など、自分をリラックスさせる活動はストレス軽減に役立ちます。

ただし、セルフケアはあくまで一時的な改善策であり、根本的な問題にアプローチするものではありません。日常的に活用することは大事ですが、根本的な解決を目指す場合、さらに深いアプローチが必要です。

対症療法:一時的な不調に対応する

対症療法とは、具体的な症状に対処するための方法です。たとえば、仕事のプレッシャーから不安感が強まり、眠れなくなった場合、医師の診察を受けて不安や不眠の薬を処方してもらうことが対症療法に該当します。

対症療法は、症状を一時的に和らげるために有効ですが、その根本原因にアプローチするものではありません。つまり、症状を抑えることはできても、根本的な問題が解決されない限り、再び同じような不調が現れる可能性が高いのです。

カウンセリングと認知行動療法の違い

多くの人が「カウンセリング」と聞くと、専門家と話をすることで心の問題を軽減する手法をイメージするかもしれません。確かにカウンセリングは、心の中の不安や悩みを吐き出すことで気持ちを楽にする効果があります。しかし、ここで注意したいのは、カウンセリングが対症療法として機能することが多い点です。

カウンセリングは、対話を通じてその時々の心の負担を軽減することを目的としており、短期的に症状を和らげることができる場合があります。しかし、根本的な原因にアプローチしない限り、再び不調が現れる可能性があるのです。問題を「話すこと」でその場の感情を整理することは重要ですが、同じ状況が繰り返される場合、根本的な解決策が必要です。

一方で、**認知行動療法(CBT)**は、根本療法に近いアプローチです。認知行動療法は、私たちが抱える問題の「認知の歪み」を修正し、長期的なメンタルの安定を目指す治療法です。たとえば、「自分はダメだ」「失敗するに違いない」といったネガティブな思考パターンがストレスや不安を引き起こす場合があります。CBTでは、このような歪んだ考え方を少しずつ修正し、現実的で前向きな思考を取り戻すことを目指します。

認知行動療法がうつ病の再発率を下げる理由

実際に、認知行動療法はうつ病の治療において効果が証明されており、うつ病の再発率を大幅に低下させることが多くの研究で示されています。たとえば、CBTを受けたうつ病患者は、通常の薬物療法だけを受けた患者に比べて再発率が約40〜60%低下するというデータもあります。これは、単に症状を和らげるだけでなく、思考や感情の習慣的なパターンを改善することで、再発のリスクを根本から減らすためです。

根本療法:長期的なメンタルケア

最も大切なのは、メンタル不調の原因に対処する根本療法です。根本療法は、単に症状を抑えるのではなく、不調を引き起こす要因にアプローチし、再発を防ぐことを目指します。

根本療法の例:

  • 働き方の見直し:過度な負担や長時間労働がメンタル不調の原因であれば、業務量を調整したり、優先順位を見直すことが必要です。
  • ストレス管理スキルの向上:心理カウンセリングやコーチングを受け、自分のストレス反応をコントロールする方法を学ぶことが大切です。
  • 認知行動療法の導入:日常的に認知の歪みを修正するスキルを身につけることで、ネガティブな思考に陥らないようにすることが重要です。

根本療法には時間と努力が必要ですが、長期的に見れば安定したメンタルヘルスを維持するために非常に有効です。セルフケアや対症療法を行いつつ、必要に応じて認知行動療法などを取り入れることで、再発のリスクを減らしながら健康な心の状態を保つことができます。

どの方法が最適か?

短期的にはセルフケアや対症療法で不調を和らげることが効果的ですが、長期的なメンタルヘルスを考えると、根本療法に取り組むことが鍵です。根本的な原因に対処することで、再び不調が現れることを防ぎ、より健康で安定した生活を送ることができます。

まとめ

メンタル不調に向き合うには、日々のセルフケアを大切にしながら、必要に応じて対症療法を活用し、最終的には根本療法を取り入れていくことが重要です。特に、カウンセリングが一時的な対症療法に留まることが多い一方、認知行動療法は、思考のパターンを変えることで長期的な改善を目指す手法です。研究でも、認知行動療法がうつ病の再発率を低下させる効果がある

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この記事を書いた人

一般社団法人FP看護師パートナー協会 代表理事
看護師・カウンセラー・上級ハラスメントマネージャー・2級FP技能士

シングルマザー支援を行っていく中で、モラハラやメンタル不調者があまりにも多いことに驚き、認知行動療法をベースとした独自のカウンセリングスタイルで問題そのものの原因を解消。ハラスメント相手との関係性構築により金銭トラブルが激減、心身の不調も改善されるなど、クライアントの日常生活における選択肢を拡大させてきた。企業でも社員一人ひとりが抱える問題を根本からケアしていくことで生産性や利益率の向上、人材定着の促進が可能となる。働くことで元気になれる職場づくりをサポートいたします。

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